2020/10/18

水の道を歩く 番外編・砧下浄水場と岡本隧道

桜新町にそびえ立つ双子の給水塔
駒沢給水塔を見に行きました

大正時代
急激に人が増え、水不足となった渋谷に
多摩川からポンプで汲み上げた水を
駒沢の給水塔に高く押し上げ
渋谷方面へ下って行く
落差の力で水を供給しようというのが
澁谷町水道でした

当時のポンプのパワーは
現在のものよりはるかに貧弱だったため
高台の駒沢給水塔まで限りなく直線に
水道管を引く必要がありました
水道管は地下に埋設され、
まっすぐな道が開通することとなります


給水塔から先は、
三軒茶屋のキャロットタワーに向かって
まっすぐな道が続きます

前回の散歩と前後して、
僕の住む町の近所にある
澁谷町水道の施設を
夕食の買い物ついでに巡ってみました

散歩部番外編です


多摩川河川敷を散歩する人なら
ちょっと気になるポイントでしょう

この部分だけ盛り上がって、
なおかつ小人の妖精のような帽子

これは多摩川の水を組み上げる取水管の
空気抜き、だそうです


何かしらの配線がされています
まだ「現役」のようです


河川敷のクサボーボーの
地面の下に眠る「伏水」を
汲み上げているそうです


以前は水道局管理用地みたいな
看板があったと思ったんですが
どこにあるのかわかりませんでした
昨年は台風もあったから…


ここから砧下浄水場に続きます
なんとなく、ラインがみえるよね?


砧下浄水場の門
奥に見える青い屋根の建物が
大正時代のポンプ棟だそうです

そのまま残されているとは!

この門の前から


続くまっすぐな道
これこそ、水道みち

この門前を、かつて玉川電気鉄道
のちの東急砧線という路線の
二子玉川駅からの線路が横切って通っていました
もともとは砂利を運ぶ路線だったそうですが
その役割を終えると、
主に終点の砧本村駅前のわかもと製薬の工場への
旅客輸送を担うようになります

やがて車の交通量が増え、
路面電車が東京からだんだんと姿を消し、
この鉄道も1969年に廃線となります
わかもと製薬の工場も
駒澤大学、玉川キャンパスになりました

今は二子玉川駅までの道をバスが走っていますが


砧本村停留所には
砧線の名残が残されています


こういったコンクリートの柵は
二子玉川駅周辺にも多く残っています


駅舎やベンチは度々綺麗にされてますが
どうやら廃線になった時のままのようです


地図もだいぶ古く、今はない店が書かれています


本題に戻ります


水道管はまず野川にぶつかります
野川には「水道橋」と
そのまんまの名前の橋がかかります


振り返ると浄水場が見えます


以前散歩した国分寺から
数々の湧水を集め、二子玉川駅前で
多摩川に合流します

この写真の奥の方では
仙川が合流しています


ここに水道橋について詳しく書いてあります
かつては川底を通っていたそうですが


一時、このレリーフのように
水道管が露わになっていたそうです
今は再び川底に埋設されています

そして
コンビニやドラッグストアを脇目に
多摩堤通りを渡った先


緑道が現れます


鎌田前耕地緑道
と言うそうです


ここ10数年で急激に住宅が増えましたが
周りに畑が今も残り、そういった意味で
耕地と言うのか
このようにボランティアによって
季節の花々が植えられているからなのか


看板をよく見たら…
明確に「水経管」とあるじゃないですか!
この道の下は、確かに水道管だあ…


緑道の先は岡本公園

ここ、水道管の難所なんです!
給水塔の高台に向かって
ゆるやかに登っていければいいんですが


武蔵野台地、国分寺崖線の端っこなんです
直線にしなくてはなりませんから
迂回はできません

登ったら、谷戸川の流れの谷に
また降りなくてはいけません

これは大いにポンプの負担となってしまいます

そこをどう切り抜けたか、
それが岡本公園内にあります


「岡本隧道」というトンネルに水道管を通したそうです
かなりの大工事!
さあ、岡本隧道見に行きましょう!

民家園の中に見えるところがあります!
興奮してきた!


来るの遅かった! 閉まってる!



日を改めて、今度は昼食の買い物ついでです


水道橋から


岡本公園
この川は丸子川といって
もともと六郷用水という江戸時代の
農業用水の名残です
またの名を次大夫掘といい
開削の総指揮をとった小泉次大夫の名前から来ています

先日歩いた向ヶ丘遊園のあたりを流れる
二ヶ領用水も小泉次大夫が指揮をとっており
多摩川を挟んで江戸初期の耕地開発に
大きく寄与した人物です

多摩堤通り沿いにその名を讃えた次大夫掘公園があり
そちらにも民家園があります


今日は岡本民家園、開いてます!


江戸後期の農家のおうち、とのこと


裏手に回って


この青いフェンスの向こう!


これ、これよ!


水道管がここを通るんだ…
扉らしきものが土や枯葉に埋もれています


この高台、
トンネルを掘ったほうがいいよね
ってなるほど、急です

だいたい高低差20メートルぐらいかな?
民家園の裏口から
岡本八幡神社の鳥居に出られます


うわあ…
ウキウキで登ります


脇を見るとほら!
水道用地の標石!


軽くお参りして


社の裏手へ出ると


見つけた!
またしても!


降りようとしたら…
すごい道だ!


降りたあたりに
静嘉堂文庫の裏口が

これに関しては後ほど


この道のずーっと下に水道管が埋まってんだ…


でたわね。
急階段、今度はくだり


谷を挟んで向こう側も同じぐらいの高台です


このあたりは高級住宅地
駅から離れている分、静かで自然も多く
素敵な場所です


谷戸川沿い、大蔵通り
右手、川の上には岡本もみじが丘のバス停が


左手に聖ドミニコ学園が


そして正面には〜?


すいどぉかんだよぉ〜…


これ、もしかしてもしかするのかな?
確証はありませんが…


水道管は民家の下を通っているようです
ドミニコ学園脇の坂道を登り


高え…
この道の下を通ります
水はこの坂を登り切れば
駒沢給水塔までゆるやかです


坂の上のおしゃれ蕎麦屋


またまっすぐの道です

この先環八を渡り、
給水塔へと水の道が続きます

前回からなんとなく続いた
澁谷町水道の水の道歩き
今回はこれで一旦締めます


以下、余談


帰り道、右に行ったところの煉瓦造りの建物
仲代達矢が主催する無名塾です


なので、その前の坂は無名坂と呼ばれます
この坂を下りて家に帰ります


えぐい


21%はだいたい角度11.5度だそうです
嘘だ45度ぐらいあるだろ

ちなみに10数年前、
ママチャリで勢いつけて登ろうとして
この排水溝の蓋でスリップし、
擦り傷だらけになったことがあります
いい大人なのに…


やのはし、の停留所です
8番目の橋という意味ですかね


谷戸川は高台のキワに沿って流れ、
丸子川へ合流します


この高台からは湧き水があるようです


そーっとのぞいて見てごらん


大量のカワニナがいましたが、
魚類はフナぐらいしか…


こんな感じで排水されているので、
遡上できないんでしょうね


残暑残る9月の下旬
彼岸花が咲き始めていました

高台を登ると


静嘉堂文庫美術館
国内で3つしかない、国宝指定されている
曜変天目茶碗の一つが所蔵されています
この美術館、再来年に丸の内に移転するそうです

このあたり交通アクセス悪いもんな…


静嘉堂文庫は三菱財閥の岩崎家による私設図書館であり
貴重な古文書や資料、美術品が収められているそうです


歴史ありそうな瓶が雨ざらし…


そして霊廟…岩崎家代々のお墓です
設計は鹿鳴館などを手がけた
ジョサイア・コンドル
こんな閑静な23区で言えば
片田舎の住宅地において
近代のビッグネームが
じゃんじゃか出てくるので
軽くクラクラします

昔はジョサイヤ・コンドルなんて
呼ばれ方してたので
明石家さんま的な、如才屋コンドルとか
落語家風の芸人なのかと
思ってました嘘ですごめん

三菱一号館や開東閣を手がけたり、
岩崎家とは深いつながりがあります


お墓なのでやんややんや
写真撮るものではないと思いますが…
お邪魔します…



英国風建築に狛犬が!


静嘉堂文庫一帯には銀木犀の
あま〜い香りが漂います
ちなみに、銀木犀にしては巨木です
見ごたえあると思います


僕の住む町は見所たくさんでした
改めて巡ってみて圧倒されました
散歩部番外編なのにかなり熱がこもった
縦長になってしまいました

興味のある部員の皆さん、
ご連絡いただければご案内いたします

集合場所は、ドトールで